生命保険は「入るほど損」?!

生命保険は「入るほど損」?!

こんにちは、naffstyleです

生命保険に関してはめちゃめちゃ詳しいというわけではないのですが仕事柄たまに触れる機会があるので、保険に対しては”自分なりの考え”を持っていますが、勉強を兼ねてこちらの本を読んでみました

生命保険というと目に見えない商品だし使う場面も限られる、のくせ毎月一定の金額の支出いわば固定費の代表格です

そう考えると毎月の支出に困っている人としては凄くセンセーショナルなタイトルなのではないでしょうか

ですが私としてはこの本、強いては後田さんが述べている意見に、どうしても同意できない箇所が多くありましたのでこの記事を書かせていただきます

せっかく良い事も書いておられるのに、この「同意できない箇所」というのが酷すぎてそれだけで保険の勉強教材としてまったく価値がないとすら思っています

その理由を書いていきます



本の内容

筆者としては

「基本的にあれもこれも生命保険に入る必要はない、保険金、給付金がもらいやすい保険でなく貰いにくい保険に入るべし」

という主張をしています

他にも

「保険会社の取り分がブラックボックス化していて経費などにどれだけ割かれているかも分からない、貯金で対応できるものは貯金するべし」

といった主張です

確かに「芸能人が数名でているような制作費がかかっているであろうCMをバンバン流すこと」は「より質の高い保険を提供すること」に相反しているわけですからそれってどうなの?という疑問提起はあって然るべきだと思うし高額療養制度といった国の保障についての記述は、ただただ考えなしで生命保険に入ることに対することへの問題提起に繋がっているなど自分の身を守るものだからこそ勉強になる面も多かったです

勉強になる面もあったからこそ目立つ酷い理屈

先程の通り保険初心者には保険の作りであったり保険に関連してくる国の制度が紹介されていて「ああ、分かりやすいな」と思う箇所があった反面中には見返す価値もないほど酷い理屈が述べられている場面がありました

どこが酷いと思ったのか書いていきます

度々出てくる「〇〇〇〇の人に聞くと」という言葉

目次『「都道府県民共済」と比べると贅沢は明らか?』内、P111にこう書いてあります

保険会社の人に聞くと、「事業費率は販売手数料の多寡に左右される面が大きいが~スケールメリットが働き、事業費率は下がる」

という記述があります

それ以外にも『〇〇〇〇の人に(担当者に)聞くと』という記述が何度も出てきます

ゴシップ記事じゃないんだしここはしっかりとソースを提示するべきでしょう

これだと「『後田さんって本ではああ書いてるけどまったく取材してないらしい』って業界関係者が言ってた」という文となんら変わらない信憑性です

他にもソースが分からない記述が何点か

更にP122の

そもそも、保険会社で働く人たちが好んで加入しているのは、販売員による説明やフォローを前提としていない「団体保険です」

ともありますがこれもイマイチ出所が分かりません

そんな記述が許されるなら「僕が知ってる保険会社で働く人たちは団体保険のメリット、デメリットを整理して団体保険でもいいもの、個人保険にしたほうがいいものに分けて加入しています」と反論させて頂きたいです

更には説明やフォローを前提としてない商品に好んで入ってる関係者を見たことがありません

むしろ国の制度や会社の制度の特徴や保険商品の特性をしっかりと理解して取捨選択しながら自分にとってマッチした保険を準備してます

こういった記述も、上記のような形で断言してしまうならどういう風に調査したのか書くべきでしょう

短絡的に判断されているという主張は分かるけども

P65~P66にある

「がんは怖い。だから、がん保険に入る必要がある」と、短絡的な判断がなされている感が強い

この記述が言わんとしていることも分かります

自分の身を守るものだからこそ短絡的に考えるものではないですし、自分自身で必要なもの、必要でないものを取捨選択していくようになるべきだと私は思います

その考え方って短絡的じゃない?

この本では保険加入に対してどれくらいの割合戻ってくるか、いわゆる還元率を求める場面があります

こちらが実際に本に出てくる図表になっています

筆者は「どんな年齢で入っても還元率は競馬の75%を下回る、保険で医療費を準備することが許されるなら『競馬で医療費を準備しましょう』という議論と同レベル」と同書に書いてあります

この理屈、はっきりいって無茶苦茶です

どこが無茶苦茶なのか

上のような計算式だと単年での還元率しかわからず保険の継続性がまるで無視されています

例えば20代で上の保険に入った場合は還元率は低いかもしれませんが年を取るにつれて入院確率は上がっていくが保険料はそのままで保障を持てます

そうすると上のような計算では保険本来の還元率なんて出せません

「各年で75%を超えれてないから競馬の還元率を上回ることがない」

と言いたいのかもしれませんが、それはこの保険が一時金のみの給付だからで他の保険も同様かは一概に言えませんし、一般的に入院した人は合併症などの罹患リスクがあることからも継続的に治療が必要になる可能性が高くなるのに競馬の還元率を引き合いに出して「じゃあ医療保険は必要ないよね」と断定するのは意味が分かりません

更に付け加えさせてもらうと、保険ですので基本的に還元率が100を上回ることはありませんが、今後高額療養制度や健康保険による自己負担割合が今後変わる可能性は加味されているのでしょうか?

また還元率を絶対視する場合、30歳男性、死亡保険金額2,000万 保証期間30年 保険料3,812円(ライフネット生命)の場合の還元率は下記の表になります

還元率だけで考えるなら

『この死亡保険も還元率が低いし入るべきでない』

ってなるし

『死亡は必要な金額が大きいから話が別。医療保険は貯金で対応できる』

という理屈でいうならば、年齢が上がるにつれて病気の罹患率も変わってくるので

『じゃあどの時点で対応できると思うのかを明示する必要があるし、各年齢で事情が変わってくるなら必要か必要じゃないかはフラットに見るべき

ではないでしょうか?

なんで医療保険は還元率で考えるくせに、死亡保険はまとまったお金が用意できるからよしとされ、選択肢になるのか意味が分かりません

P196にはこうあります

とはいえ、ここまで繰り返し書いてきたように、基本的に「保険は入るほど損」する仕組みです。
そこで保険ならではの利点である「まとまっていないお金でまとまったお金が用意できること」を第一に考え、商品で絞っていきます

と断言するなら医療保険を批判するために出てきた還元率はますます的外れな意見になるし、入るほど損するのに『まとまっていないお金でまとまったお金が用意できる』メリットを取り上げて保険金を貰いにくい保険がいいというなら仮に”ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された時点で2,000万”という保険があるなら是非とも入るべきとでもいうのでしょうか?

この保障内容なら保険金を貰いにくいし罹患率から想定される保険料も安いでしょう

なったら介護にかかるお金など家族への負担も大きいので無視できるものではありません

それを『貰いにくいけどなったらまとまっていないお金でまとまったお金が用意できるし』是非とも入るべきとでもいうのでしょうか?

そもそも競馬と保険では支出の性質が違います

競馬は「ギャンブル、娯楽」的な性質があるのに対して保険は「いざなったら家族への負担が増す、例え期待値がマイナスでも掛けるに値する」という必需品に近い性質での支出ではないかと思います

それをひとえに『還元率がマイナスだから』という理由で必要ないと決定付けている時点で保険の考え方がずれているのではないでしょうか?

P64の

『どんなことが起きても、誰からも責められないようにするには、死亡・医療・がん・介護・就業不能その他、ありとあらゆる保険に入ることをすすめるしかありません』

という言葉の言わんとすることは分かります

ただ

『じゃあ還元率もマイナスだし保険で全てをカバーするには無理があるから入るべきでない』

という理屈はあまりにも短絡的です

もう一度書きます、こんな単純な理由で保険への加入を見送ることはあまりにも短絡的です

都合の良い部分だけ抜粋するな!!

第2章「がん保険」は宝くじより不利?内『一般的な費用負担は50万程度?』にある

最多は10万円未満~50万円の380で、全体でも10万未満~100万円が有効回答の6割超を占めています

自由診療や代替医療なども含む費用であることを思うと、通常の治療を受ける分には100万円かからないケースのほうが多いのかもしれないと感じます

(以下略)

間接経費も込みで126万円であることから、「50~100万程度の負担で済むことが多い」と推察しています。

この出典元『がん患者意識調査』を見たらなんで「そんな書き方をするのかな」とがっかりきました

がん患者意識調査にある「(22) がん治療やその後遺症軽減のために支払った費用はおよそいくらですか。もっとも費用のかかった 1 年間(1~12 月)の合計額について分かる範囲でお答えください。なお、高額療養費制度などを利用し医療費の払い戻しがあった場合には、それを差し引いた額(結果的に自己負担となった額)を記入してください。」

要は『1年間にがんで手出しになった金額で一番多い金額を書いて下さい』という設問の解答が以下の表です(無効回答を除く)

本書では

『(上記の手出しになった金額というのは)自由診療や代替医療なども含む費用であるから通常治療だったら100万かからないケースが多いのかもしれない』

と書いていますが再発や転移をするがんなのにもっともかかかった治療費の抜粋だけで物事を進めている短絡さに呆れてしまいます

もっともかかった年に100万弱で他の年に20万程度の支出が数年あるようなケースも考えられるのになんでその時の費用は出てこないのか不思議でなりません

逆に僕は「最もかかった年でほとんどの人が100万弱かかっているのに全体で見たらどれくらいかかるのだろうか?」と不安になりました

そもそも

そもそもこの『がん患者意識調査』の資料のP8

③がん治療にかかった費用について7割が負担感大内の図3-1がんの治療にかかった費用は、どの程度の負担感がありましたか。(問24)

では70.9%の方が『とても負担が大きい』ないし『やや負担が大きい』と回答しており、まとめると『治療をするにあたって費用負担が大きいと感じた』と思った人が7割を超えてるのになんで都合の良い資料だけ抜粋し都合の良い解釈だけして『じゃあそこまでお金がかかってない人が多いしいらないでしょ?』という意見にこじつけているのか納得いきません

なんでこの『なんだかんだ経済的な負担が増えた』という大前提の意見を無視するのでしょうか?

同書の意見を正当化するために抜粋しているとしか思えません

同じ資料から結果を選別する理由はなんなのでしょうか?

私には『同書の”保険不要論”を主張するには都合が悪かったから』としか思えません

どんな人に読んで欲しいか

ある意味上で挙げた意見を踏まえた上で皆に読んで欲しいです

保険は分かりにくいからこそ勉強して自分なりの考えを持つことが大事なのではないかと自分は思います

後田さんがおっしゃるように「保険は経費が差し引かれるから貯金で対応できるものは貯金で対応したほうがいい」という意見も半分納得です

こんにちは、naffstyleです 実は最近入院・手術を余儀なくされまして、取りあえずは退院もできほっと一安心です ところで...

こちらの通り私は貯蓄の有効性は否定していません

ただ保険、貯蓄どちらもメリット、デメリットあると思います

そのメリット、デメリットを十分に理解して自分が必要だと思う保険があればしっかりと勉強してそれで入るべきではないでしょうか?

私はこの本のタイトル「生命保険は入るほど損?!」とは微塵も思いません

逆に理由が伴っていないがために説得力が欠けてタイトル負けしているとさえ思います

同書で述べられている意見がどう思うかは個人の経験や考えに大きく左右される一面もあると思いますが私は断じて同意できません

もちろん私が述べている意見のほうが理解できないという方もおられるかと思いますが、一個人の意見として参考にして頂ければ幸いです

色々書きましたが

色々書きましたが私もあくまでたまに触る程度ですし、中には『いやいや、これあんたの意見のほうがおかしいよ』という理屈もあるかもしれませんが現時点では私の意見を崩すつもりはありません

あった場合には改めて考察の上自分がどう思うのか記事にしたいと思います

ところどころあるように後田さんが言わんとすることも分かります

ですがあまりにも短絡的すぎではないかと思います

読者の皆様には

『あくまでもこれは一意見である』

として頂いて

『だからこそ自分なりに勉強して自分が備えておくべき保険は何か』

を考える良いきっかけにして頂ければ幸いです